儲からんことを一生懸命やってませんか?!
月刊誌『セルフサービス』2月号  第7話ー【SM絞首刑台への13階段・最終章】


 皆さ〜ん♪ こんにちは!毎日毎日、寒い日が続きますねぇ〜。いえいえ、たぶんそうだと思います…?実は、これを書いている今夜はナント!X’masイブの夜10時なんです〜(T_T)侘し〜〜い!でも、この業界の皆さまも今頃は…X’masパーティーどころか、明日からの正月用品準備特集の為の売場替えを必死にやっておられることと思います。お疲れ様です。私も頑張らなくっちゃ!(^o^)丿

 

 それでは、今回はいよいよSM絞首刑台への13階段】の最終章をご紹介していきたいと思います。

 

第12段 朝作った惣菜が1日中売られている?!

最近のコンビニ惣菜は1日に3回配送されるところも珍しくない。ところが、売場のすぐ後ろに加工場を持つ食品スーパーはどうだろうか?これが、あまりよろしくない。よく見受けられるのが…『朝、作った惣菜が1日中売られている』のである。確かに、小さな食品スーパーの場合、加工する人(マンアワー)の確保がうまく行っていないのはよく分かるが…。


午前中に揚がった『揚げ物』。午前中はバイキングコーナーを展開していても、夕方からは残り物がパックされるだけ・・・(-_-;)

ここで、大事なことは店内における商品部門の中で、惣菜部門は一番荒利貢献度が高いということである。一般的に荒利の高い生鮮の中で、青果が2025%、鮮魚で2530%、精肉で3035%に対して、惣菜はナント!4550%もある。つまり、惣菜の売上構成を上げれば、店内トータル荒利は向上するのである。

ところが!色んなお店の売場クリニックや指導を行っていると、面白い共通性に気付く。では、ここで惣菜が弱いお店の法則性をご紹介しよう。

【コレで惣菜が売れるわけがない!】

  惣菜部門には、ベテランの方がいる。

  その方には誰も口出しできない。

  例え店長であろうと、治外法権である。

  その方はアイ アム レシピー!我が惣菜は一番と思っている。

  だから、いつ行っても同じ商品ばかり。新商品や季節商材が出るわけがない。

【よく目にする光景】

この前、ある店の売場クリニックをした時のことである。ランチタイムに休憩所に行くと、パートさんが5.6人で自店の惣菜・弁当を食べながら、何やらお話をされていた『うちの店の弁当って、いっつも同じだよねぇ。』『この焼きそば、メッチャ油っ濃いわ!』『ちょっと高くな〜い?!』…自店の惣菜の悪口で盛り上がっているのである。そこへ、惣菜のパートさん3人がお昼を食べにやって来た。すると!先ほどまであんなに盛り上がっていた惣菜談義が、突然!昨日のTVドラマの話題に摩り替わった。誰も惣菜に対しては、文句が言えないのである。別にこの店に限ったことではない。よく目にする光景だよね。(~_~;)

【よく見かける惣菜売場…おにぎり編】

どこのコンビニで大人気のフィルムおにぎり。ところが、あのフィルムおにぎりを品揃えしていない食品スーパーが多い。また、置いてあっても、品揃えも悪ければ、陳列量が極端に少ない店が多い。現場の方に聞くと、理由は二つ。この商品だけは仕入れ商品のために値入率が低いことと、そんなには売れないかららしい。ところが売れないと言っている店に限って、陳列の仕方にまた法則性がある。

何故か、どこでも籐かごにジャンブル陳列なのである。これでは、何のネタが切れているのかが分からないから、発注(生産)する個数もいつまでも経っても変わらないのである。売れ数が伸びるはずがないよネ!じゃ、どうすればいいのよ?!



ネタごとに列で縦割管理すればよいのである。こうすれば、何のネタが切れたのかが目で見てすぐ分かる。それさえ分かれば、誰だって発注(生産)量を増やすであろう。つまり、売上は自然と上げるのである。コレを続けると、写真のようにネタによっては2フェイスと増えるよね。

【よく見かける惣菜売場…いなり寿司編】

私は売場クリニックの時に心掛けている事が一つある。それは、ランチはなるべくその店の惣菜を食べることである。ただ…いつも惣菜・弁当ばかりではさすがに飽きてくる。そんな時は、カップ麺と軽いご飯類を摂る。そこで、また見つけた『売れない惣菜コーナーの法則性』

食品コーナーで食べたいカップ麺を取ってきて、いなり寿司でも食べようかな?と考え、惣菜コーナーの米飯コーナーへ。すると、いなり寿司が8個入り。(-_-メ)そげん、食えんぞ!(気を取り直して)じゃ、巻き寿司にしよう!と思って売場を見ると、巻き寿司は全て1本売り。しかも、切っていない店だってある。(-_-;)この店は年から年中、節分の丸かぶり寿司をさせるんか!ランチと言うのは、大体一人で食べるものである。コンビニにはしっかり「いなり2〜3個入り」「巻き寿司ハーフ」があるんだけどなぁ〜(T_T)

この前、講演会場で面白いことが起きた。前の方で聴いておられたパートさんが、突然挙手をして言ったのです。『センセ、うちの店にはいなり2個入りがありますよ!』「あ、それはいい店ですねぇ。」と私が応えると…『いいえ、それがジャンボいなりの2個入りなんですよ〜』コレには、会場一同大爆笑でした。

【よく見かける惣菜売場…揚げ物編】

揚げ物類はパック販売にするより、価格を均一にして、バイキング方式にすると、ほとんどの店で売れ数が飛躍的に向上する。ところが、この『揚げ物バイキングコーナー』でよく目にするのが、商品を入れる容器がビニル袋しか用意していない店が多い。

揚げ物バイキングの容器が、ビニル袋のみ。しかも、コーナーから離れすぎ。

是非一度、ご自分でかきあげ3枚をそのビニル袋に入れて自宅まで持って帰って頂きたい。まぁ、ビニル袋の中のかきあげは見事に原型はなく、油でジュクジュク状態になっているはずである。

揚げ物コーナーには、1枚用のビニル袋とは別に、中と大サイズのフードパックが欲しい。そして、その横には無料サービスで、醤油とソースの小袋ぐらいは置いて欲しいものである。しかし、これだけでは不十分。

揚げ物バイキングには、天ぷら類とフライ類が混在している。醤油とウスターソースはサービスとするが、ここで『天つゆ』『トンカツソース』『タルタルソース』『マヨネーズ』の小袋を関連販売すると、更なる衝動買いを誘発し、買上点数アップに貢献してくれるのである。

 

先に述べたように、治外法権になりやすい惣菜部門。書きたいことは山ほどあるのだが、今回は紙面の都合上、この辺でとどめておく事にします。




第13段 一番給料の高い人が儲からん日割特売商品出しに一生懸命?!

給料の高い人…これは正社員を意味している。その中でも一番高い人はもちろん店長である。この給料の高い人たちが、儲からない日割特売商品出しに一生懸命になっていることが多い。確かに、人が少なくて、自ら特売商品出しをしなければならない状況もよく分かる。しかし、それが本来の仕事ではない!と言うことを理解して頂きたいのである。

【いつか、こんなことがあった…編】

私の指導先のお店を訪問した時、店長が一生懸命になって、エンドに日割特売商品を積んでいた。出している商品は某インスタントコーヒー250g瓶である。この商品は1ケース6本入り。そう!何ケース開けても数がはかどらないのである。

彼は50歳を超えている。腰を伸ばしたり、曲げたり…彼があまりに一生懸命に品出しをやっているので、私は声を掛けずに彼が気付くまで後ろからそれを見ていた。すると、ほとんど開梱し終わった頃、やっと私に気付く。『あら!センセ来てたんですか〜?早く声を掛けてくれれば…』(あまりにキミが一生懸命にやっているから、声も掛けづらかったんだよ!)『ちょっと、休憩しましょうか?』と、私に声をかける。別に私は休憩は要らない。彼が休みたいのである。

自販機の前に立つと、『センセ、何飲まれます〜?』「あ、ボクはホットで…」(おごってくれるいいヤツである)ところが、彼は「スカッと、爽やか」を飲んでいるのである。このクソ寒い2月に…である。(私もタバコを吸うが)また、彼のタバコを吸う姿に憤りを覚える。スパーッと力強く煙を吐き出す姿はいかにも『どうだ!オレが特売商品を全部出したぞーッ!』『オレは仕事やっとるドーッ!』という自負感に見えたからである。困ったものである。(-_-メ)

 

以前にも書いたように、特売商品からは利益が出ていなければ、給料も出ていない。給料の高い人ほど、荒利益率の高い商品(例えば、定番商品)を値下げすることなく販売する方法…そう!コレまでに書き綴ってきたような『売りの仕掛け』を考えて頂きたいものである。

また、50超えたオジサンが腰の屈伸をしながら品出しするより、若いアルバイトさんにさせた方がずっと早いのにねぇ。つまり、店長の皆さんには、もっと『人(部下)の使い方』を勉強して欲しいな。

【どうしたら、部下はヤル気になるのか?!…編】

ある食品スーパーのパートさん200名を対象に、『貴方がもっと仕事に燃えるために、会社や上司に望むことは?』というアンケートを採ったことがある。


 

 

出て来た要望は13項目。その内9項目(しかも上位独占)は、上司のマネジメントに関することであった。つまり、店長のマネジメントが変われば、もっとパートさんは仕事に燃え、その店は活性化するのである。

良く色んな企業やお店を訪問すると…『うちの部下はヤル気がないんですよォ〜!』と不満を言うトップや店長がいらっしゃるが、ヤル気がないのはマネージャー貴方自身に責任があると言うことをお忘れなく!『権限は下に委譲して、責任は上が遂行する!』マネージャーの器以上に、その組織は大きくなれないんです。度量の大きな店長さんになって下さい。

 

 

昨年8月から始まった私の連載も、そろそろ完結の時がやって来たようです。この間、多くの方々に私のホームページに立ち寄って頂き、また沢山の感想や応援のメールを頂きました。当初、予定されていた連載7ヶ月間をまっとう出来たのは、読者皆様のお陰でございます。誠に有難うございました。(__)m

また、いつかお会いできることを楽しみにしております。では、この辺で(^.^)/~~~







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