儲からんことを一生懸命やってませんか?!
月刊誌『セルフサービス』9月号  第2話ー【SM絞首刑台への13階段・第1章】


 皆さん、こんにちは!今月も皆様に会えてよかったです。連載中止になっていなかった。(*^^)v ・・・というのも、まだ掲載されたものが出回っていないんですね。だから、皆様の反響を見ないままに、第2話の原稿を書いているというわけです。実は今、沖縄行きの飛行機の中でPC叩いています。カッコイー!もちろん、周りに迷惑がかからないように、誰もいない一番後ろの席に変わりましたよ。前から一度、こういうのをやってみたかった。(~o~) でも、飛行機の中1時間半もあるから、いい暇つぶしにはなるよね。ノートPCって、いいよね。(^^♪

 

『我々は何のために仕事しているのでしょうか?』これは、よく私がいろんな講演やセミナーの冒頭で行う質問です。すると、会場からの答えは大体3通りに分かれますねぇ。

@『お客様のため』

A『地域・社会貢献のため』

B『儲けるため』

どれも当たっていますよね。ただ、ゴールとミッションの違いでしょう。つまり、どれが手段で、どれが最終目的なのか?ということです。最近、思ったことがなかなか堂々と言えない風潮にあるような気がします。だから、どこの企業でも、かっこよく『お客様のため』『地域・社会貢献のため』が前面に出てくるのでしょう。しかし、私の講演やセミナーでは『儲けるため』『利益を出すため』とハッキリ言い切っています。この件については、様々な反論があると思いますが…。更に私の話は続きます。中途半端に『お客様のため』『地域・社会のため』というもんだから、売場では儲からんことを一生懸命やっている赤字で税金払っていない企業だって『社会貢献』といっている? これで良いのでしょうか?!

儲かっていなければ…

@     皆さんの給料も上げられない

A     改装もできない、新店も出せない

B     新しい什器・設備も入れられない

C     真の意味でお客様に利益還元のサービスもできない

D     社内の人財の確保、教育もできない

E     税金も払えない。銀行も相手をしてくれない。

F     なんと言っても企業はつぶれる

確かに最終目的は『儲けるため』ですが、一方的に売り手の論理だけで、儲けようとしてもそれは長続きしませんよね。皆さんご周知のとおり、その前提には地域のお客様の満足なくして、これはありえないことですよネ !(^^)! 最近、私の講演や顧問先でよく使う言葉があります。それは…

『我々の給料は売上から出ていない!荒利益から出ている!』

当たり前じゃん!とお思いでしょうが、現場の店長、主任、担当者、そしてパートさん、アルバイトさん…み〜んな、売上を上げれば、給料が上がるって思っている方がほとんどじゃないんですか? 私は、この仕事を始めて、もう延べ何百というお店(八百屋ではない…スミマセン)の『売場クリニック』をやって来ました。そこである法則性を見つけたんです。荒利や利益が低い儲からないスーパーのネ。『冴えないスーパー13の法則』…ちょうど13個あったもんですから、講演の中では、現潟_イエー副社長の平山敞氏の著書『人を活かす商い』からちょっとキャッチコピーをお借りして『スーパーマーケット絞首刑台への13階段』と言うタイトルでいつもしゃべっています。それでは、その内容をご紹介しましょう。

 

      第1段 同じ商品でもエンドと定番ではついてる売価が違う?!

『な〜んだ』『そんなことかいな』とガッカリされた方が多いと思います。でも、実際 売場クリニックをしていて、この現象が7.8割の店舗で発見されてしまうんです。出来ているようで、出来ていない。また、『な〜んだ』と思う人ほど、この重要性を認識していないみたい。

【よく見かける売場@】

例えば、○―モンドカレーが特売でエンドに大量陳陳列される。もちろん特売価格128円のPOPがしっかり付いています。ところが、定番コーナーにはPOPが付かず、198円のプライスカードのままという状況ですね。つまり、同じカレーがエンドと定番では売価が違うというわけです。


ここまで、ある講演会で話したら、親切にもある店長が忠告してくれた。















『先生、付いている売価は違っても、今はPOSだから、どちらとも128円で通るんですよ』って。
















アホか!知っとるわい!




知らんのはお客様なんですね。こんな状況で、お客様がまず定番コーナーで○―モンドカレーを手にしたとします。もちろんこの時、お客様は
198円と思っています。ところが、店内を歩いているうちにエンドの特売に気付く。すると、どうでしょう?このお客様は同じカレーをセルフカゴのものと入れ替えている…このような光景は皆さん、よく目にするでしょう。(たまに入れ替えなかったり、エンドが品切れしていても定番から持って行く人もいますが、あれはこの業界の経験者じゃないですか?)

では、何故ダメなんでしょう?また、このことを担当者やパートさんまで、しっかり教えていますか?ここが大事なんですねぇ。このお客様がこのようなことを何度か経験したとしましょう。すると、お客様の意識の中は、きっと『定番は高い、エンドが安い』ということになる。こうなった時はおしまいですね。だって、もうこのお客様は定番に入って来なくなるんですから、一番値入の高い定番商品の買上点数がドンドン低下するというわけです。定番構成比は下がり、特売構成比がアップする…当然、荒利益率は低下しますよね。儲からんはずです。

 

      第2段 遠足の前日、ブロッコリーが品切れする?!

これは前号の『運動会の前日にパセリやいなり揚げが品切れる』と同じような例です。ではここで、福岡の主婦アンケートデータをご覧下さい。


子供達のお弁当には、ナント!唐揚げより高い確率で『ゆでブロッコリー』が入っているんですねぇ。知ってましたぁ?その前に、お店のスタッフが地域の小学校で遠足があるということすら知らない方が多いようですけどね。これでは、お宅の社長様が墨で書いた『地域密着で生き残る!』という額縁が泣いていますよ。(T_T)

【商売のヒント@】

ではここで、私の顧問先での実施事例をご紹介しましょう。私たちのお店では、遠足や運動会はもちろんのこと、色んな地域行事や学校行事を調べ上げます。そしてこれらの行事は大体、同じ日付前後の曜日対応で毎年行われる法則性を持っていますので、1回調べておくと次の年から楽ですけどねぇ。

珍しい事例として、私たちは『学校の家庭訪問』というマーケットも攻めています。学校や幼稚園の家庭訪問が始まると、どこの家庭でもそれなりの準備をするものです。この時に売れるのは…『切花』『芳香剤』『和菓子』『クイックルワイパー替え紙』などです。だから、こういった商品をエンドに集め、タイトルボード『家庭訪問の準備はお済みですか?』を取り付けて、ほとんど定番価格で販売するのです。売れると思いませんか?

【商売のヒントA】

ついこの前、7月19日は学校の終業式でしたが、皆さんのお店では何か『売りの仕掛け』は実施されましたか?私たちは『成績上がったら、我が家でご馳走!』です。アンケートしてみますと、子供の成績が上がった時にご馳走を作る家庭は約5割です。但し、これはスーパー側が何も仕掛けなかった場合のことで、私たちスーパー側が仕掛ければ、もっとこの数字は上がるはずです。更に、そのメニューは『ステーキ』『とんかつ』『焼肉』といった肉料理に偏っています。やっぱり『母の日』のメニューとは全然、違いますよね。そこで、私たちのお店では写真(2001.7.18撮影)のような『売りの仕掛け』でお客様をお迎えするのです。どうです?売上・荒利ともに取れるはずでしょう。

このようにキッチリと調べて、キッチリと仕掛ければ、必ずヒットするのです。これが私の言う『地域密着の真髄』ですよ。誰ですか? 『どのくらい上がりますか?』とか、『まず、実験店舗を決めて…』とかアホなこと言ってるのは?!とにかく実行あるのみですよ。

 

      第3段 広告・SALEのPOPしかなく、定番にはPOPが付かない。

【よく見かける売場A】

どこのお店でも、広告掲載商品にはキッチリPOPが付いています。これはこれでいいことでしょう。しかし、定番コーナーには何もPOPが付いていないというお店も多いんですよねぇ。(付いていても、『月間奉仕品』とかEDLP商品ですね。)こんなことって、おかしいと思いません?だって、今号の最初に書いたように、『我々は儲ける為に、商売している!』に反していますよ。儲からん商品にPOP付けて、儲かる定番商品にはPOP付けないんだから。しかも!赤字幅がデカイほど、デカイPOPをつけている。(-_-;)ガックシ!

ここでの問題点は、POPは値下げ品しか付けられないと思っている人が多いってこと。これじゃ、いつまでたっても荒利は上がらんよ。要は安くも無い定番商品にどのようなPOPを付ければいいか?ということだよね。そこで…

【商売のヒントB】

先程の『家庭訪問』攻略もコレに該当するけど…この号が出るのは、9月の初旬。と言う事は、この月末から翌月初に『学校や地域の運動会』が集中するよね。(また、運動会かいな。そんなこと言うなよ。先月号で運動会攻略は全部終わっていないんだから。)先月号でも書いたように、運動会にはどこの家庭でも、重箱にお弁当を詰めて持って行く。田舎からやって来た祖父母もその重箱を食べる。…という事は、たった1日の為に、物凄い数のおかずとレジャー用品が必要になるんだ。重箱を埋めるとなると、『おせち料理』に近いものがある。だから、客単価も跳ね上がる。

そこで、私たちのお店では『運動会用品』というスポッターやPOPを8月末から取り付けている。1店舗に30枚くらい?そんなバカな!桁が違う。約300枚に達する。だって、そうじゃないか。店内にある商品、ほとんどが『運動会用品』になるじゃないか。

取り付ける代表的な商品アイテムについては、先月号の記事とデータをもう一度、見ておいてくれ。更に、私たちの取り付け基準は『3尺ゴンドラ、2から3枚』取り付けるのが私たちのルールになっている。ビール、珍味、飲料、レジャー雑貨などまで、考えると必然的に300枚となる。『運動会攻略』の最大のポイントは、『運動会客を全て呼び込む強い販促』と『入店されたお客様に絶対に買い漏れを起こさせない!』以上、2点をコンセプトとした『売りの仕掛け』がキッチリ出来れば、年間で5本の指に入る売上指数の高い日になることは間違いない。

 

 

それでは、そろそろお時間となったようです。また、来月も皆様にお会いできることを期待して、今月はこの辺で(^.^)/~~~

 




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